パニック障害の認知行動療法とは?年齢や性別の傾向も解説!

パニック障害は日本人のおよそ1.5%〜4.7%に見られ、必ずしも珍しい病気という訳ではありません。

パニック障害の主な症状はパニック発作と予期不安ですが、治療方法の1つが認知行動療法です。

本記事では認知行動療法の特徴や種類、思考パターンを変える際のポイントなどについて解説します。

この記事を読むことで

メリット1.認知行動療法の主な種類が分かる
メリット2.薬物療法だけでなく認知行動療法が必要な理由がわかる
メリット3.パニック障害を発症した際に役立つ
このようなメリットがあります。

不安ちゃん不安ちゃん

パニック障害を発症すると薬で症状を抑えるだけでなく、認知行動療法が重要だと聞きました。

私はなるべく薬に頼りたくない方なので、薬物療法以外でパニック障害を改善する方法があるのならぜひ教えて欲しいです。

谷藤千秋谷藤千秋

パニック障害の代表的な症状がパニック発作と予期不安ですが、パニック発作に関しては薬物療法が有効とされています。

しかし、症状が長引く傾向にある予期不安の改善には、薬物療法だけでなく認知行動療法が必要です。

適切な認知療法を続けることで、パニック障害の早期改善が期待できますよ。

この記事はこんな方におすすめです。
  • パニック障害の症状について知りたい
  • パニック障害の治療法について知りたい
  • パニック障害を根本から解消したい
  • できれば薬には頼りたくない
  • 予期不安を抑える方法が知りたい

パニック障害の代表的な症状であるパニック発作は、生涯におよそ11%の方が経験すると言われています。

11%の方が全員パニック障害へ移行するわけではありませんが、誰でもパニック障害になる可能性はあるため注意が必要です。

しかし、適切な治療を受ければパニック障害は治る病気なので過度に心配する必要はありません。

ただし、自己判断で放置するとうつ病を発症するなど、生活の質を著しく低下させる恐れもあるため注意が必要です。

最後まで読んでパニック障害の治療法を知り、症状の改善に役立ててくださいね。

パニック障害の原因と薬以外の治し方を解説

薬に頼らずにパニック障害を改善したい場合の対処

パニック障害の診断基準に当てはまり、予期不安がなかなか改善しない方は『病人でいることをやめる講座』に来て下さいね。

あなたが一人で抱えている心配事や不安の解消に向けて、今後やるべきことを明確にします。

『病人でいることをやめる講座』

パニック障害の認知行動療法とは?

パニック障害の認知行動療法とは、パニック障害の症状の1つである予期不安の解消に効果的とされています。

はじめに認知行動療法とはどのような治療法なのか、また、パニック障害の改善にどのように用いられるのかについて解説します。

    • 認知行動療法とは
    • 認知療法
    • エクスポージャー法
    • 系統的脱感作法
    • リラクゼーショントレーニング
    • 呼吸訓練
    • 集団認知行動療法について
    • 認知行動療法を行う際の注意点
    • 認知行動療法の限界について

認知行動療法とは

認知行動療法はCTB(Cognitive Behavior Therapy)とも呼ばれる心理療法の一手法です。

認知行動療法は、1970年代にアメリカ人医師のアーロン・ベックによって、うつ病の改善を目的として開発されました。

現在ではパニック障害や不安障害、摂食障害、統合失調症など多くの精神疾患の改善・再発予防目的で用いられています。

認知行動療法では人がある事物に面した際に、どのように受け取るか(認知)に着目する点が特徴です。

例えば何かの試験を受けて結果が75点だった際に、「75点も取れた」と認知する場合と「75点しか取れなかった」と認知する場合では、感じるストレスに大きな違いが生じます。

心身共に健康な状態であれば「75点も取れた」と前向きにとらえ「次は80点以上取ろう」と意欲的な行動を取ることが考えられます。

一方、心身の状態がよくない場合には「75点しか取れなかった」と悲観的にとらえ、やる気がなくなってしまうかもしれません。

認知行動療法では、患者さんが受け取ったネガティブな認知を、現実的なものへと変えていくことを目的としています。

先の例で説明すると「100点満点からすれば25点足りないけど、75%は正解できている」と物事の良い面と悪い面を現実的にとらえられるように導きます。

パニック障害の治し方全般についてはこちらで詳しく説明しています。

合わせて読みたい

パニック障害 治し方

認知療法

認知療法は患者さんが意識および自覚したイメージや考え方(認知)に着目した、言葉を用いた治療法です。

パニック障害を始めうつ病や統合失調症など多くの精神障害に幅広く用いられている治療法で、薬物療法と同等の効果が期待できることから近年にあり脚光を浴びています。

認知療法では認知モデル(認知のパターンの関する理論的仮説)を基礎として治療を進めることが基本です。

例えば電車に乗ろうとするとパニック発作を引き起こす方の場合、認知療法を取り入れることで以下のような思考パターン、および身体感覚の変化が起こると考えられます。

(状況)電車に乗ろうとしている
(気分)不安や恐怖が最大に
(自動思考)心臓発作を起こして死んでしまうかもしれない
(根拠)心拍数が上昇して汗が止まらないのは心臓発作を起こす前兆だからだ
(反証)心拍数が上昇しているのは不安や恐怖を感じているためだ
心拍数の上昇で死ぬことはないと担当医が言っていた
(適応的思考)深呼吸をしたら担当医の言うように心拍数は減少するはず
心拍須賀上がり汗が止まらないのは電車に乗ることの緊張感からだ
(気分)不安や恐怖が減少

パニック発作を起こす場合、発作の原因となる刺激(この場合は電車に乗ること)に対して不安や恐怖が最大に達すると、心拍数の上昇や発汗などの身体的変化が見られます。

心拍数の上昇や発汗などの身体的変化が見られると、心臓発作を起こして死んでしまうという偏った思考パターン(自動思考)が起こります。

心臓発作を起こして死んでしまうといった自動思考が起こると、さらに不安や恐怖が増すという悪循環に陥る訳です。

認知療法では偏った思考パターン(自動思考)に対する反証を立てることで、現実的でバランスの取れた考え方(適応的思考)に導きます。

認知療法により偏った思考パターンを正していくことで、当初の不安や恐怖を減少させる効果が期待できます。

認知療法では一度の治療で改善を図るのではなく、何度にもわたってカウンセリングをくり返す中で、健全的で前向きな思考パターンへと導くことが一般的です。

エクスポージャー法

エクスポージャー法は曝露(ばくろ)療法とも呼ばれており、患者さんの行動面にアプローチする行動療法の一種です。

エクスポージャー法はひとことで言うと不安や恐怖に患者さんを慣れさせていく治療法で、パニック障害だけでなく不安症や強迫性障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの治療にも用いられます。

エクスポージャー法では不安や恐怖を数値化したSUD(Subjective Unit of Distress)と呼ばれる指標を用いることが特徴です。

もっとも強い不安や恐怖を感じる場面を100点、不安や恐怖を感じない状況を0点とし、さまざまな状況で感じる不安や恐怖を10点から90点まで相対的に設定します。

<例>

0点…自宅でお風呂に入りリラックスしている
10点…タワーマンションのエレベーターに乗る
20点…病院で医師の診察を受ける
30点…美容院で美容師と話をする
40点…パートナーと電車に乗る
50点…高速道路で車を運転する
60点…パートナーと暗い館内で映画鑑賞する
70点…高速道路で渋滞に巻き込まれる
80点…一人で電車に乗る
90点…一人で暗い館内で映画鑑賞する
100点…飛行機に乗る

不安や恐怖を感じる状況に何度もチャレンジして慣れていく過程で、徐々にSUDの点数が全体的に減少していくことが一般的です。

不安や恐怖にさらされる(曝露される)ことで次第に状況に慣れ、不安や恐怖が全体的に小さくなっていく点がエクスポージャー法の原理です。

エクスポージャー法に取り組んだ方の大半にパニック障害の改善効果が見られたとの報告もあり、薬物療法と並んで重要な治療法の1つとなっています。

系統的脱感作法

系統的脱感作法は行動療法の一種で、想像的エクスポージャー法とも呼ばれています。

エクスポージャー法におけるSUDが低い状況にチャレンジすることも困難な場合に、イメージを思い浮かべることから始めることが特徴です。

例えばタワーマンションのエレベーターに乗ろうとする行為すら困難な場合に、まずはエレベーターに乗るイメージを行い、その後リラックスすることを繰り返して徐々に慣れていきます。

リラクゼーショントレーニング

リラクゼーショントレーニングは漸進的筋弛緩法とも呼ばれており、行動療法の補助的方法の1つです。

額や目の周辺から足の先までの筋肉を緊張、弛緩させることを繰り返し、不安や恐怖の軽減を図ることが特徴です。

あくまでも行動療法の補助的に行われる治療法ではありますが、リラクゼーショントレーニングだけでパニック発作が改善するケースも少なくありません。

呼吸訓練

呼吸訓練も行動療法の補助的方法の1つで、呼吸が浅く不規則になることを防止する目的で行われます。

呼吸が浅く不規則になると血中の酸素および二酸化炭素濃度のバランスが崩れるため、不安や恐怖にともなう身体症状があらわれやすくなるためです。

代表的な方法が「3・3呼吸法」です。3秒かけて息を吸い、3秒かけてゆっくりと息を吐き、1分間に10回の呼吸を繰り返します。

適度に息を吸って吐くことを繰り返すことで、普段から緊張状態や不安状態に陥ることを避けられるようになります。

仮にパニック発作が起こった場合には、「4・4・8呼吸」がおすすめです。

4秒かけて息を吸って4秒間呼吸を止め、8秒かけてゆっくりと息を吐くことを繰り返します。

パニック発作にともない息苦しさを感じるとつい浅い呼吸を繰り返してしまいがちですが、酸素を吸い過ぎるとかえって過呼吸状態に陥りがちです。

あえていったん呼吸を止めたり、しっかりと吐くことを意識することで、パニック発作や過呼吸が治まりやすくなります。

パニック障害と過呼吸との関係についてはこちらで詳しく説明しています。

合わせて読みたい

パニック障害 過呼吸

集団認知行動療法について

近年になって注目されているパニック障害の治療法の1つが集団認知行動療法です。

基礎編や応用編など症状の程度に応じたセミナーに参加し、同じ悩みを持つ患者さんとともにパニック障害を克服できる点が特徴です

認知行動療法を行う際の注意点

認知行動療法を行う際の注意点の1つが、セルフモニタリングをしっかりと行うことです。

薬物療法とは異なり、認知行動療法は患者さん自身が主体的に取り組むことで、症状の改善を図ることが目的です。

そのため、パニック発作の引き金がどこにあり、どのような思考や身体的症状に至ったのか、自分で見つけ出すことが欠かせません。

また、認知行動療法の効果はすぐにあらわれるわけではないため、半年ほどかけてゆっくりとパニック発作を改善するという目的を持つことも重要です。

認知行動療法の限界について

認知行動療法の限界は、うつ病やASD(自閉症スペクトラム症)傾向がある方の場合、改善が難しいケースも少なくない点です。

また、仕事に疲れ果てて現場に戻りたくないなど、そもそも治療意欲が低い方にも認知行動療法は向いていないと言えるでしょう。

パニック障害になりやすい方についてはこちらで詳しく説明しています

まとめ

パニック障害の代表的な治療法が薬物療法と認知行動療法です。

薬物療法ではパニック発作を効率的に抑制できますが、予期不安に関しては十分な効果が期待できません。

そのため、認知行動療法で考え方のパターンを正して、予期不安をコントロールしていくことが重要です。

薬物療法と合わせて認知行動療法を行った場合、高い治癒率を得られることが多くの研究により報告されています。

特に高い治療意欲を持つ方の場合には、認知行動療法が効果的とされています。

認知行動療法に興味がある方には、『病人でいることをやめる講座』もおすすめです。

パニック障害にともなう予期不安を根本から改善したい方は、認知行動療法に取り組むことを検討してみて下さいね。

治療意欲さえあれば、高い確率でパニック障害を改善することが期待できますよ。

最初から決めなくても大丈夫です

リトリートマインドラボでは、
累計1500回ものセッションを行ってきた代表、
谷藤が、まず

「言葉でパニック障害をやめる」

とはどういうことなのか?を無料講座にて解説をしています。

そちらを受講いただくと、どの講座を受けたら良いかのイメージが付きます。

「無料受講はこちらから」

パニック障害の克服に向けた対処法

パニック障害における認知行動療法の重要性について、この記事を読んで把握できたあなた!

もし、パニック障害の治療を行っていて、一般的な薬や精神科で良くなってない場合は「言葉で予期不安をやめる方法」をぜひ試してみてくださいね。

「言葉で予期不安をやめる方法」でわかること

  • パニック障害の不安が解消できる
  • パニック障害の対処法がわかる
  • 安心して毎日が過ごせる

講座でご紹介している言葉を書き換える方法は、パニックの不安をやめることにつながります。

「言葉で予期不安をやめる方法」については、こちらの記事を御覧ください。